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【法人保険】国税庁が発表した定期保険の税制改正案☆

概要

生命保険会社各社は、国税庁から定期保険の税制を改正する旨の連絡を受けたことに伴い、今年2月から、定期保険の販売を自粛しておりました。

この件で国税庁は4月11日に法人契約の定期保険の税制改正案を発表しました。

定期保険の税制が改正されることになったのは、ここ近年、法人税法の規定の範囲内で、生命保険会社各社が過度に解約返戻率が高い全損商品を販売したためです。

本来は『掛け捨てが全損であり、資産性が高いものは資産計上』という基本的なルールをかなり逸脱している状況であったため、国税庁にとっても、目に余る状況だったのではないかと思われます。

尚、従来は保険期間によって保険料の損金算入割合が決まりましたが、今回の改正ではピークの解約返戻率(最高解約返戻率)によって損金算入割合が決まる内容に変更となっています。

改正案の概要は次のとおりです。

《改正案の概要》
①法人契約の定期保険は、最高解約返戻率によって損金算入割合を決定する方法に変更する。

②これを規定するため、法人税基本通達9-3-5の2を新たに追加する。

③また、定期保険に医療保険や介護保険などの第三分野の商品を含めた規定に変更する。

④今までの個別通達は廃止する(ただし、従前の契約には引続き適用する)。

⑤本通達が発表される前に契約された保険契約に係る保険料については、本規定を適用しない

現段階では案ですが、おそらく今回発表された案がほぼそのまま通達として発表され、施行されるのではないかと思われますので、順を追ってみていきたいと思います。

定期保険の改正後の損金算入割合の考え方

今回、国税庁が示した改正案では、

✅ 最高解約返戻率が50%以下の場合

✅ 最高解約返戻率が50%超70%以下の場合

✅ 最高解約返戻率が70%超85%以下の場合

✅ 最高解約返戻率が85%超の場合

の4つに分けて損金算入割合を決めるとしています。

今回の改正の肝は、新設される予定の法人税基本通達9-3-5の2です。

今回追加される法人税基本通達9-3-5の2は次の通りです。





出典:国税庁HP(赤線部分筆者加筆)

これを要約すると次の図のようになります。

最高解約返戻率が50%以下の場合

最高解約返戻率が50%以下の場合には、全期間を通じて保険料の全額を損金算入可能ということになります(法人税法基本通達9-3-5)。

今回の改正案によれば、ピークの解約返戻率(最高解約返戻率)が50%以下の場合には、従来の法人税基本通達9-3-5により、全額損金計上が可能としています。

法人税基本通達9-3-5(改正前)についてはこちらをご覧ください。

法人保険の支払保険料の税務
概要 生命保険を法人が契約し、その法人が保険料を支払った場合の税務は、どのような取り扱いとなるでしょうか? 以前、生命保険には定期、養老、終身の3つの基本型があることをお伝えしました。 結論から言うと、保険種類によって...

 

最高解約返戻率が50%超70%以下の場合

最高解約返戻率が50%超70%以下の場合には、保険期間の開始の日からその保険期間の100分の40までの期間で保険料の一部を資産計上し、その資産計上した保険料を保険期間の100分の75経過後から、その保険期間の終了まで取り崩すという改正内容となります(法人税法基本通達9-3-5の2)
なお、資産計上額は保険料の40%となりますので、当初の損金算入額は保険料の60%となります。

例外

最高解約返戻率が50%超70%以下の場合であっても、全損損金としても良い例外のケースがあります。

ただし、これらの保険のうち、最高解約返戻率が 70%以下で、かつ、年換算保険料相当額(一の被保険者につき2以上の定期保険等に加入している場合にはそれぞれの年換算保険料相当額の合計額)が 20 万円以下の保険に係る保険料を支払った場合については、9-3-5の例によるものとする。

出典:国税庁HP(赤線部分筆者加筆)

つまり、法人契約の定期保険で、一人当たりの年保険料が20万円以下の場合には、資産計上せずに全額損金算入しても良いことになります。

ただし、その法人で契約している定期保険が2以上の場合には合計額での判定となりますので、注意が必要です。

最高解約返戻率が70%超85%以下の場合

また、最高解約返戻率が70%超85%以下の場合には、最高解約返戻率が50%超70%以下の場合と同様に、保険期間の開始の日からその保険期間の100分の40までの期間で保険料の一部を資産計上し、その資産計上した保険料を保険期間の100分の75経過後から、その保険期間の終了まで取り崩すという改正内容となります(法人税法基本通達9-3-5の2)
なお、資産計上額は保険料の60%となりますので、当初の損金算入額は保険料の40%となります。

最高解約返戻率が85%超の場合

一方、最高解約返戻率が85%超の場合には、資産性が高くなりますので、保険料のうち、次の計算式で計算した金額を資産計上します。

1年目から10年目まで 最高解約返戻率×90%
11年目以降      最高解約返戻率×70%

よって、損金計上額は、次のようになります。

1年目から10年目まで 100%-(最高解約返戻率×90%
11年目以降      100%-(最高解約返戻率×70%

なお、資産計上する期間は、保険期間開始の日から最高解約返戻率となる期間までであり、その後資産計上した金額を取り崩す期間は、解約返戻金額・・・・・・が最も大きい保険期間から終了時までとなります。

まとめ

今回国税庁が提示した改正案は、従来の保険期間で損金算入割合を決めるのではなく、『掛け捨てが全損であり、資産性が高いものは資産計上』という基本的な考え方を反映させるため、ピークの解約返戻率(最高解約返戻率)にもとづいて損金算入割合を決める内容となっています。

この損金算入割合は、最高解約返戻率が50%以下の場合、50%超70%以下の場合、70%超85%以下の場合、そして85%超の場合の4つに区分して決まる予定です。

この中でも最高解約返戻率が85%超の場合が一番複雑で難解かと思われます。

なお、国税庁は今回の改正案について、5月10日までパブリックコメントを受付けしています。

もしご意見のある方は、こちらからご応募ください。

パブリックコメント:意見募集中案件詳細
「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)等に対する意見公募手続の実施について

今回の記事が皆様にとってお役に立つ記事でしたら幸いです。

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