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【事例問題】孫が死亡保険金の受取人である保険契約が相続発生後に見つかった場合の問題点☆

まえがき

相続人ではない孫に対する生前贈与が相続対策として有効であることは、次の【相続対策の失敗】のところでお話しました。しかし、孫が遺贈により相続財産を取得した場合には、その生前贈与は相続対策として失敗する可能性が高いこともお伝えしました。

ここでは、生前贈与による相続対策が失敗に終わった事例を問題で考えて頂きたいと思います。

https://www.hokenzeim.com/%E3%80%90%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%81%AE%E5%A4%B1%E6%95%97%E3%80%91%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E4%BA%BA%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84%E5%AD%AB%E3%82%92%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E4%BF%9D%E9%99%BA/

事例問題

前提(一次相続)

Aさんのご主人は、かなりの資産家でしたが、10年前に奥様Aさんと子供2人に多額の遺産を残して他界しています。

Aさんのご主人が10年前に亡くなった時の相続財産の相続税評価額は10億円で、その相続財産を奥様であるAさんとAさんの子供2人で法定相続分通り相続しました。

10年前に相続した財産と納付した相続税の一覧は次の通りです。

1.Aさん 5億円(納付した相続税0)
2.Aさんの子供 各々2億5,000万円(納付した相続税 各々8,905万円)《注》

尚、Aさんの納付相続税が0になるのは、配偶者の税額軽減(法19の2)によるものです。

《注》相続税法の改正により、平成27年1日1日以降の相続については基礎控除の引き下げ等の改正がありましたが、一次相続の納付相続税は現行の相続税法で計算した納付税額で表示しています。

生前贈与による相続対策と二次相続の発生

ところで、最近AさんはガンのステージⅣと告知され、自分の余命がわずかであるとわかりましたので、相続税のことが心配になり、顧問税理士に相談しました。

これに対して顧問税理士から、子供2人には成人した孫が合計5人いるため、孫1人につき500万円ずつ生前贈与した方がいいとのアドバイスがありましたので、年内に500万円ずつ、年明けにまた500万円ずつ孫5人に生前贈与しました。

税理士によれば、孫は相続人ではないので生前贈与しても相続財産には加算されることはないとのことでした。

孫への生前贈与の対策するにあたり、顧問税理士はAさんに納付する相続税は次のようになる見込みであると伝えました。

1.孫への生前贈与する前
・相続財産(評価額)5億円
・子供2人が法定相続分通り相続した場合の相続税額 1億5,210万円(各7,605万円)

2.孫への生前贈与した後
・孫5人に500万円ずつ2回生前贈与した後の相続財産(評価額)4億5,000万円
・子供2人が法定相続分通り相続した場合の相続税額 1億2,960万円
・孫5人の納付する贈与税額の合計(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5,000円
よって48万5,000円×5人×2回=485万円

3.孫への生前贈与による効果(相続税の節税額)
1億5,210万円-(1億2,960万円+485万円)=1,765万円

その後、Aさんの容体が急変し亡くなりましたが、Aさんの相続発生後に契約者、被保険者がAさん、死亡保険金受取人を孫5人とする保険契約が見つかり、孫5人はその保険金を受け取りました。

問題1

この場合にどのようなことが問題になるでしょうか?また、今回のAさんの死亡により、納付する相続税はいくらになるでしょうか?

問題2

生前にどのようなことをすれば良かったでしょうか?

顧問税理士、生命保険の外交員のそれぞれの立場から答えて下さい。

(ヒント)相続税法第19条(相続開始前三年以内に贈与があった場合の相続税額)の適用対象者は、相続又は遺贈により財産を取得した者です。

解答はこちらになります。

https://www.hokenzeim.com/%E3%80%90%E8%A7%A3%E7%AD%94%E3%80%91%E5%AD%AB%E3%81%8C%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E4%BF%9D%E9%99%BA%E9%87%91%E3%81%AE%E5%8F%97%E5%8F%96%E4%BA%BA%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%A5%91%E7%B4%84/

根拠法令・関連条文

第一九条(相続開始前三年以内に贈与があった場合の相続税額)
相続又は遺贈により財産を取得した者がその相続の開始前三年以内にその相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、その贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第十五条(遺産に係る基礎控除)から第十八条(相続税額の加算の規定)までの規定を適用して算出した金額(その贈与により取得した財産の取得につき課せられた贈与税があるときは、その金額からその財産に係る贈与税の税額を控除した金額)をもって、その納付すべき相続税額とする。

第一九条の二(配偶者に対する相続税額の軽減)
被相続人の配偶者がその被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、その配偶者については、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した残額があるときは、その残額をもってその納付すべき相続税額とし、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする。
一 その配偶者につき第十五条(遺産に係る基礎控除)から第十七条(各相続人等の相続税額)まで及び第十八条(相続税額の加算の規定)により算出した金額
二 その相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額がその相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額
イ その相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第九百条(法定相続分)の規定によるその配偶者の相続分(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続分)を乗じて算出した金額(その被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)がその配偶者のみである場合には、その合計額)に相当する金額(その金額が一億六千万円に満たない場合には、一億六千万円)
ロ その相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に依る相続税の課税価格に相当する金額

※根拠法令・関連条文につきましては、読みやすいように一部加筆修正しています。

《参考》相続税法の改正について(国税庁資料)

相続税改正ー国税庁