スポンサーリンク

民法改正(相続法)と生命保険の活用☆

相談者ゆき
相談者ゆき

つかさ先生、民法の相続法が改正になったとお聞きしましたが、

どこがどう変わったのですか?

税理士つかさ
税理士つかさ

今回は色々な改正がありましたが、身近な改正項目としては自筆証書遺言の方式が緩和されたり、遺留分算定における相続人に対する生前贈与について、持ち戻しされる期間が原則として10年になったりしたことでしょうか・・・

 

相談者ゆき
相談者ゆき

ありがとうございます。

ちなみに自筆証書遺言は具体的にはどのように緩和されたのですか?

税理士つかさ
税理士つかさ

自筆証書遺言を作成する場合には、今まではその全文と日付と氏名を全て自筆で作成しなければならなかったんですが、これからは添付する財産目録についてはパソコンで作成しても認められるようになったんですよ。但し、その財産目録のページ全てに署名捺印が必要です。

相談者ゆき
相談者ゆき

そうなんですね。ありがとうございます。

ところで遺留分って何なんでしょうか?

税理士つかさ
税理士つかさ

遺留分は、相続人に法律上確保された最低限の財産の権利ですよ。

例えば、ゆきさんのお父さまが、ゆきさんのお母さまに全ての財産をあげるという内容の遺言を書いていた場合で、もしお父さまが亡くなられたときには、ゆきさんが何もしなければ、ゆきさんは財産をもらえないことになりますよね?

相談者ゆき
相談者ゆき

はい、そういうことになりますね。

でもそれは困ります・・・笑

税理士つかさ
税理士つかさ

ゆきさんは確かお姉さまがいらっしゃいましたよね?

つまり、お父さまからみたときには、お母さまの法定相続分は1/2で、お姉さまとゆきさんは1/4づつということになります。

この場合、ゆきさんの遺留分はその法定相続分の半分の1/8ということになります。つまり、万が一そのような遺言があっても、ゆきさんは1/8の財産を主張できることになります。それが遺留分です。

相談者ゆき
相談者ゆき

遺留分について理解できました。ありがとうございます。

でも相続人に対する持ち戻しって、確か3年ではなかったでしょうか?

税理士つかさ
税理士つかさ

税法とごっちゃになってますね。確かに相続税法では相続又は遺贈により財産を取得した者が、その被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けていた場合には、その3年以内の贈与財産は相続財産に持ち戻して、相続税の計算をしなければならないという規定があります。

 

一方、遺留分は民法上の話ですから相続税法とは異なるんですよ。

今までは相続人に対して生前贈与した場合には、期間にかかわらず遺留分算定の時に持ち戻しが必要でしたが、今回の改正により相続人に対して行った生前贈与については、原則として相続開始前10年以内の贈与財産に限り、持ち戻せば良いということになりました。

相談者ゆき
相談者ゆき

そうなんですね。なかなか難しいですね。でも理解できました。

ありがとうございます。

税理士つかさ
税理士つかさ

他にも改正項目がありますので、一緒に見ていきましょう。

 

概要

2018年7月13日に民法(相続法)が改正されました。

具体的には、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律法務局における遺言書の保管等に関する法律が公布されたことになります。

概要は、民法(相続法)の改正の概要(法務省のホームページ)をご参照下さい。

尚、改正の骨子は次の通りとなります。

第1 配偶者の居住権を保護するための方策

1 配偶者短期居住権の新設
配偶者短期居住権とは、相続開始時に配偶者が被相続人の居住建物に無償で住んでいた場合に、原則としてその居住建物の帰属が確定するまでの間(最低6ヵ月間)、配偶者がその居住建物を無償で使用できる権利のことを言います。

法務省ホームページより

2 配偶者居住権の新設
一方、配偶者居住権とは、原則として配偶者が生きている間、配偶者が居住建物を無償で使用及び収益できる権利のことを言います。

法務省ホームページより

尚、これらの施行は2020年4月1日です。

第2 遺産分割等に関する見直し

1 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定規定
婚姻期間20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住用不動産を遺贈又は贈与したときは、その被相続人は、その遺贈又は贈与について、いわゆる「持戻し」の規定を適用しない旨の意思表示をしたものと推定することです。

法務省ホームページより

2 仮払い制度等の創設・要件明確化
平成28年12月19日の最高裁の判決によって、従来可分債権遺産分割の対象外)とされた預金債権が不可分債権遺産分割の対象)となりました。このため、遺産分割前に150万円を限度として相続人に仮払いできる制度が創設されました。

法務省ホームページより

3 遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲
遺産の分割前に遺産に属する財産が「第三者により処分」された場合には、共同相続人は、共同相続人の全員の合意により、その処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在していたとみなして、以後の分割に係る手続きを進めることができるものと規定されました。
これは共同相続人間の公平を図る目的により規定化されたものです。

法務省ホームページより

尚、これらの施行は、2019年7月1日です。

 

第3 遺言制度に関する見直し

1 自筆証書遺言の方式緩和(こちらの施行2019年1月13日です。
従来、その全文、日付及び氏名を自書する必要がありましたが、添付する財産目録については自書をしなくても良いことになりました。但し、自書せずに作成した財産目録については、すべてのページに遺言者の署名と捺印が必要です。

法務省ホームページより

2 遺言執行者の権限の明確化
従来、民法第1015条により、「遺言執行者は相続人の代理人とみなす」とされていましたが、遺言執行者は本来遺言者の真実の意思を実現することがその職務であり、そのために相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有することになりますので、改正後は、「遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる」と変更されました。
また、民法第1012条では、遺言執行者は、相続人ではなく、遺言者の真実の意思を実現することがその職務であることを明確化するため、「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と変更されました(青字部分が改正により追加された部分です)。

3 公的機関(法務局)における自筆証書遺言の保管制度の創設
従来保管制度がなく、相続発生後に発見された場合には家庭裁判所で検認手続きが必要であった自筆証書遺言について、今回の改正により、遺言者の住所地もしくは本籍地又は遺言者の所有する不動産の所在地のいずれかの法務局において保管する制度が設けられました。
尚、この制度を利用した自筆証書遺言については、検認手続きが不要となります。

尚、2と3の施行は、2020年7月10日です。

 

第4 遺留分制度に関する見直し

遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行の規律を見直し、遺留分権の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずるものとしつつ、受遺者等の請求により、金銭債務の全部又は一部の支払につき裁判所が期限を許与することができるようになりました。

また、今回の改正により、相続人に対する贈与の持戻し期間は原則として10年間に限定されることになりました。

法務省ホームページより

尚、こちらの施行は1年以内(2019年7月12日迄)です。

 

第5 相続の効力等に関する見直し

改正前は、相続させる旨の遺言等により承継された財産について、登記等の対抗要件がなくても第三者に対抗することができるとされていましたが、改正法では法定相続分を超える権利の承継については、登記等の対抗要件を備えていなければ第三者に対抗できなくなりました

法務省ホームページより

尚、こちらの施行は1年以内(2019年7月12日迄)です。

 

第6 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる制度《特別の寄与》 が創設されました。 特別の寄与の制度創設に伴い、家庭裁判所における手続規定(管轄等)が設けられました。

法務省ホームページより

尚、こちらの施行は1年以内(2019年7月12日迄)です。

民法改正と生命保険の活用

今回の民法改正について、生命保険と関連付けて、どのような対策をしたら良いかを見ていきましょう。

第1 配偶者の居住権を保護するための方策

相続発生後、配偶者の居住権が確保されたとしても配偶者が生活していくうえでは現金が必要です。

このため、死亡保険金の受取人を配偶者とする生命保険金が配偶者に支払われることにより配偶者の生活資金の手当が可能となります。

第2 遺産分割等に関する見直し

平成28年12月19日の最高裁の判決により、相続された預貯金債権は不可分債権として遺産分割の対象となることが明確になりました。

この判決により、相続人によって遺産分割が行われるまで預貯金は共同相続人による単独での払い戻しができないことになります。

このため今回の民法改正により仮払い制度が創設されました。しかし、預貯金債権に対して仮払制度が創設されたと言っても、払い出せる預貯金には限度があります。

具体的には、相続開始時の預貯金債権の額×1/3×法定相続分が仮払制度により払い出せる預貯金の限度額となります。

一方、生命保険金については民法上の財産ではなく、受取人固有の財産であるため、死亡保険金受取人からの請求によってすぐに現金化が可能な財産です。

このため生命保険金は預貯金のように遺産分割が必要ではないため、相続発生後の資金化の手続きが簡単であり、預貯金で資金準備するよりも生命保険金で現金を準備した方が得策であると言えます。

第3 遺言制度に関する見直し

生命保険での対策が特にないと思われる改正項目です。

第4 遺留分制度に関する見直し

今回の民法改正により、遺留分の減殺請求権については、遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることが明確になりました。

このため遺留分権者に対する支払いは金銭で行うことが必要となります。

金銭を準備するために最も効率的なのは生命保険金であり、被相続人の死亡により相続人が受取った死亡保険金から遺留分権者に対する金銭の支払が可能となります。

第5 相続の効力等に関する見直し

生命保険での対策が特にないと思われる改正項目です。

第6 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

今回の民法改正により、相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる制度《特別の寄与》 が創設されました。

このため、相続人は特別寄与者から金銭請求があった場合には金銭の交付が必要となりますが、相続財産に現金が少なかった場合には、特別寄与者に対する金銭の交付が困難となります。

対策としては、被相続人を被保険者、相続人を死亡保険金受取人とする生命保険の加入により、相続人は特別寄与者に対する金銭の確保が可能となります。

尚、死亡保険金受取人を相続人ではなく、初めから特別寄与者とすることによって、特別寄与者に対して金銭を渡すことが可能となりますが、そもそも相続人以外の者を死亡保険金受取人とすることを認めている保険会社が少ないですし、相続人以外の特別寄与者を死亡保険金受取人にしたとしても、次の問題が発生することになりますので、死亡保険金受取人は相続人にしておいた方が無難です。

①相続人以外の特別寄与者が受け取った生命保険金については、死亡保険金の非課税の適用対象外です(相法12)。

②相続人以外の特別寄与者の受取る生命保険金に対する相続税額は2割増となります(相法18)

③特別寄与者は、遺贈により生命保険金を受け取ることになりますので、もし被相続人が相続人以外の特別寄与者に生前贈与していた場合には、被相続人が相続開始前3年以内に特別寄与者に行った生前贈与財産については、相続財産に持ち戻しされ、相続税の課税対象となってしまいます(相法19) 

相続税額の2割加算の対象となる人は、次の通りです(国税庁のホームページより引用)

にほんブログ村 投資ブログ お金(投資)へ
にほんブログ村