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法人保険の支払保険料の税務

概要

生命保険を法人が契約し、その法人が保険料を支払った場合の税務は、どのような取り扱いとなるでしょうか?

以前、生命保険には定期、養老、終身の3つの基本型があることをお伝えしました。

結論から言うと、保険種類によって、支払った保険料の保険税務の取り扱いが異なります。

基本的な考え方をまずお話したいと思います。

お金が貯まる保険の保険料は資産計上、お金が貯まらない保険(いわゆる掛捨)の保険料は損金計上となります。

ここでは、まず次の契約形態であるとした場合の法人保険の税務をみていきたいと思います。

契約者被保険者死亡保険金受取人
法人役員・従業員法人
損金と費用の関係
費用は会計上の概念で、損金は法人税法上の概念です。
費用と損金はほぼ同じですが、厳密に言うと、同じ金額とはならないです。
例えば交際費については会計上は全額費用となりますが、法人税法上では原則として全額損金とはなりません。
このような似たような関係として、会計上の収益と法人税法上の益金があります。こちらも似ていますが、同じものではないです。

定期保険の保険料の税務

定期保険とは一定期間の死亡を保障する保険であり、貯蓄性が原則としてなく、いわゆる掛け捨て保険と呼ばれているものです。

法人保険の定期保険にかかる保険料の税務上の取扱いについては、法人税法基本通達9-3-5に規定されています。

法人税基本通達9-3-5(定期保険にかかる保険料)

法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下9-3-7までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。

(1) 死亡保険金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。

つまり、法人が契約者で、かつ死亡保険金受取人である場合の定期保険の保険料をその法人が支払った場合には次のような仕訳となります。

(支払保険料)×××(現金預金)×××

つまり、税務上の取扱いは、支払保険料として全額損金算入となります。

養老保険の保険料の税務

養老保険とは一定期間の死亡を保障するとともに、その一定期間内に死亡事故が発生しなかった場合には、その死亡保障と同額の満期保険金を受け取ることができる保険であり、貯蓄性があります。

法人保険の養老保険にかかる保険料の税務上の取扱いについては、法人税法基本通達9-3-4に規定されています。

法人税基本通達9-3-4(養老保険にかかる保険料)

法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含むが、9-3-6に定める定期付養老保険を含まない。以下9-3-7までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第135条《確定給付企業年金等の掛金等の損金算入》の規定の適用があるものを除く。以下9-3-4において同じ。)を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。

(1) 死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下9-3-5までにおいて同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下9-3-4において同じ。)の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、保険事故の発生又は保険契約の解除若しくは失効により当該保険契約が終了する時までは資産に計上するものとする。

つまり、法人が契約者で、かつ死亡保険金と満期保険金の受取人である場合の養老保険の保険料をその法人が支払った場合には次のような仕訳となります。

(保険料積立金)×××(現金預金)×××

つまり、税務上の取扱いは、保険料積立金として全額資産計上となります。

養老保険は他の2つの保険と異なり、満期保険金がありますので、他の2つの保険に比べて保険税務が少し複雑になっています。このことについては別途記事にしたいと思います。

終身保険の保険料の税務

終身保険とは一生涯の死亡を保障する保険であり、原則として貯蓄性があります。

法人保険の終身保険にかかる保険料の税務上の取扱いについては、特に規定されていませんが、養老保険と同じように貯蓄性がありますので、養老保険の取扱いに準じて処理されます。

よって、法人が契約者で、かつ死亡保険金受取人である場合の終身保険の保険料をその法人が支払った場合には次のような仕訳となります。

(保険料積立金)×××(現金預金)×××

つまり、税務上の取扱いは、保険料積立金として全額資産計上となります。

長期平準定期保険の保険料の税務

定期、養老、終身の3つの基本型以外に長期平準定期保険という保険があります。

この保険は、簡単に言うと、定期保険と終身保険の中間のような保険です。

それでは、長期平準定期保険の保険税務について詳しく見ていきましょう。

長期平準定期保険とは?

長期平準定期保険とは、定期保険のうち、保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、契約時の被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する期間を加えた数が105を超えるものをいいます但し、逓増定期保険に該当するものを除きます

長期平準定期保険に該当する要件

契約年齢+保険期間>70歳 かつ 契約年齢+保険期間×2>105《105ルール》

これは105ルールと呼ばれており、例えば次のような定期保険です。

(例1)75歳満了で契約時の年齢が45歳未満の定期保険
契約時45歳で75歳満了の定期保険であれば、75歳>70歳ですが、45+(75-45)×2=105となりますので、長期平準定期保険には該当しないことになります。
一方、契約時44歳で75歳満了の定期保険であれば、75歳>70歳であり、かつ、44+(75-44)×2=106>105となりますので、長期平準定期保険に該当することになります。
(例2)80歳満了で契約時の年齢が55歳未満の定期保険
契約時55歳で80歳満了の定期保険であれば、80歳>70歳ですが、55+(80-55)×2=105となりますので、長期平準定期保険には該当しないことになります。
一方、契約時54歳で80歳満了の定期保険であれば、80歳>70歳であり、かつ、54+(80-54)×2=106>105となりますので、長期平準定期保険に該当することになります。
(例3)100歳満了の定期保険
すべての年齢で長期平準定期保険に該当します。

長期平準定期保険にかかる保険料の取扱い

法人保険の長期平準定期保険にかかる保険料の税務上の取扱いについては、法人税法個別通達に規定されています。

具体的には、次のような取り扱いとなります。

①保険期間の前半6/10の期間・・・1/2が資産計上、1/2が損金算入

②保険期間の後半4/10の期間・・・保険料の全額を損金算入するとともに、前半の期間で資産計上した保険料を後半の期間で按分して損金算入していく

(具体例) 契約年齢40歳で保険期間80歳満了の定期保険であり、年間支払保険料が100万円の場合

まず長期平準定期保険に該当するか否かについて判定します。
80歳>70歳かつ40+(80-40)×2=120>105を満たしますので、この定期保険は長期平準保険に該当します。

よってこの保険にかかる保険料は、次のように仕訳されます。

【保険期間の前半6/10の期間】(前半24年間)

(支払保険料)50万円 (現金預金)100万円
(前払保険料)50万円

【残り4/10の期間】(後半16年間)

(支払保険料)175万円 (現金預金) 100万円
             (前払保険料)75万円
※50万円×24年÷16年=75万円(前半期間で資産計上された保険料を、残りの後半の期間で取り崩して損金算入していきます)

今後の税制改正の方向性について(2019年2月14日追記)

この記事をアップしてからまだ間もないですが、昨日2月13日に国税庁が各保険会社に法人契約の定期保険の税制の取扱いの変更を検討している旨の通知をしたようです。
これは、近年105ルールにかからないような全損で返戻率の高い定期保険を生命保険会社各社が相次いで発売してきており、これを国税庁が問題視しているためだと考えられます。

初めに基本的な考え方としてお話しましたように、本来『お金が貯まる保険の保険料は資産計上、お金が貯まらない保険(いわゆる掛捨)の保険料は損金計上でなければならないのです

これを受けて、多くの生命保険会社が今月以内に全損商品を含めた貯蓄性の高い定期保険だけでなく、長期平準定期保険についても販売を停止する方向のようです。

ただ、個人的な意見ですが、今回定期保険の税制改正が行われたとしても、貯蓄性の高い全損の逓増定期保険やがん保険の税制改正のときのように、過去に契約した定期保険に対しては新しい税制を適用しないという配慮がされる可能性が高いと思っています。

今回の国税庁の方針は、来月3月が多くの法人の決算期で、早急に決算対策を封じ込めたいとする意向であると考えられ、国税庁がかなり本気で取り組んでいるように感じます。
とりあえず、現状は各報道をはじめ、国税庁からの今後の定期保険の税制改正のアナウンスに注視していきましょう。

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