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団体信用生命保険の税務

団体信用生命保険とは?

住宅を購入する場合には、ほとんどの人は金融機関から住宅ローンを借りることになるかと思います。通常住宅ローンを借りるときは、団体信用生命保険に加入しなければならないことになっています。

団体信用生命保険とは、万が一、ローンを借入れした人が死亡した場合や高度障害になった場合に生命保険によって残りのローンの返済が不要となるものです。

よく略して団信(だんしん)と言われることが多いので、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか?

団体信用生命保険の契約形態

団体信用生命保険は、住宅ローンの債務者が被保険者になっていますので、一見、債務者が保険の契約者のような感じがしますが、実は保険契約者は金融機関であり、保険金受取人も金融機関となっています。

次の図がとても分かりやすいです。

楽天銀行のホームページより

 

団体信用生命保険の保険料

住宅ローンの場合、通常はローンの債務者に保険料の負担はないです。

尚、以前住宅金融支援機構の取り扱う【フラット35】については、団信加入が任意であったため、団信に加入する場合には、別途保険料の支払いが必要でしたが、平成29年10月1日以後に【フラット35】を申込みした場合には、団信付きの住宅ローンに変更になったため、保険料の負担がなくなりました。(これに伴い、フラット35の平成29年10月1日以後の金利は以前より少し高くなりました。)

 

ローンの債務者に団体信用生命保険の保険料負担がないのは、保険契約者保険金受取人金融機関となっているためです。

しかし、実質的には保険料のコストは、住宅ローンの債務者の負担する借入金利に含まれていると考えた方がよいでしょう。

団体信用生命保険は、死亡や高度障害の事由以外に、金融機関によっては、オプションでガンと診断されたり、8大疾病で一定の場合に住宅ローンの残りの返済が不要となる特約を付加することができます。

このようなオプションを付加する場合には、通常の住宅ローンの金利に上乗せして支払うことになっている金融機関がほとんどです。(一部のネット銀行等では追加の保険料の負担がなく、こうした団信を取り扱っているところもあります。)

団体信用生命保険の税務

原則は課税されない

団体信用生命保険は、保険金受取人はあくまで金融機関ですので、原則としては課税されないことになっています。

これについては、生命保険会社からの質問に対し、昭和44年5月26日に団体信用保険にかかる課税上の取扱いについて(昭和44.1.22付照会に対する回答)として、国税庁長官の回答した質疑応答事例があります。

団体信用保険にかかる課税上の取扱いについて(昭和44.1.22付照会に対する回答)《抜粋》

3.死亡事故が起きた場合

保険事故が死亡であった場合の賦払償還債務の免除に関しては、相続税の課税上は相続人によって承継される債務がないものとし、被保険者である顧客およびその相続人について所得税の課税関係は生じない。

4. 廃疾事故が起きた場合

保険事故が廃疾であった場合の賦払償還債務の免除に関しては、その利益が身体の傷害に基因して受けるものであるので、所得税の課税関係は生じない。

廃疾とは?
廃疾とは高度障害のことです。


つまり、団信の被保険者である債務者が死亡した場合には、次のような取扱いとなります。

①金融機関に対するローンが免除され、相続税の課税上、相続人によって承継される債務がないことになること。つまりこれは、当然ながら団信の被保険者(債務者)の相続人は、借入金を相続財産から差し引くことができないということを意味しています。

②また死亡した債務者やその相続人は、所得税法上の課税の問題は生じないこと。

一方、団信の被保険者である債務者が高度障害(昭和44年当時は高度障害のことを廃疾と呼んでいました)になった場合には、次のような取り扱いとなります。

高度障害によって債務が免除になっていますので、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」として非課税となります。これは所得税法施行令第30条第1号の規定を根拠とするものです。詳細は次の記事をご覧下さい。

高度障害保険金の税金について
概要交通事故などで高度障害になった場合には、どのような取り扱いとなるでしょうか?高度障害になった場合には、死亡保険金と同額の保険金が支払われ、その保険契約は終了となります。高度障害保険金は、入院給付金や手術給付金と同じように身体の傷害に基因

 

一時所得課税となる場合

団信は原則として課税されませんが、連帯債務として住宅ローンを借入れしていた場合に、一方の債務者が、他方の債務者の死亡により、その連帯債務を免除になったときには、一時所得課税となります。

尚、連帯債務ではなく、連帯保証の場合には、団信によってローンの返済が不要となったとしても、連帯保証人に対し、一時所得課税されることはないです

連帯債務の住宅ローンにおいて、他方の債務者の死亡により、一方の債務者が団信で債務免除になったために、その残債務について一時所得課税されたケースについては、国税不服審判所の裁決事例がありますのでご紹介します。

住宅ローンの連帯債務者が、団体信用生命保険に加入していた他の連帯債務者の死亡により住宅ローン債務が消滅したことにより受けた経済的利益は、一時所得に当たるとした事例

 請求人は、請求人の父の死亡に伴い、G銀行との間で請求人及び父を連帯債務者とする住宅ローン契約(以下「本件ローン契約」という。)の締結の際にG銀行が加入した、G銀行を保険契約者及び保険金受取人、父を被保険者とする団体信用保険契約(以下「本件団信保険契約」という。)により、本件ローン契約に係る債務は消滅したが、請求人と父との連帯債務の負担割合は、父が10割、請求人が零であるとする暗黙の合意(特約)があったから、請求人が負担すべき債務は一切存在せず、請求人には経済的利益は全くなく、一時所得は発生しない旨主張する。

また、原処分庁は、①本件ローン契約により、請求人には負担すべき債務がある、②団体信用保険制度は、死亡事故を基因として、死亡時における賦払償還債務相当額の保険金が保険会社から債権者である金融機関に対して直接支払われるものであり、債務者が一旦保険金を受領し債務の返済に充てるものではないから、当該債務の消滅は債務の返済ではなく金融機関から債務免除を受けたものと解され、当該債務が連帯債務である場合には、被保険者を除く各連帯債務者が実質的に債務を負っている部分について債務免除を受けたことによる経済的利益(債務免除益)が生じたものとみるのが相当であるから、請求人がG銀行から受けた債務免除益相当額は、法人からの贈与により取得したものであり一時所得に該当する旨主張する。

しかしながら、①請求人と父との間の負担付贈与契約は、債権者であるG銀行は当該負担付贈与契約を了知していないことから免責的債務引受とみることはできず、請求人と父との間でのローン債務の負担割合を変更したにとどまると認められ、また、②G銀行は本件団信保険契約に係る保険料を全額負担していること、G銀行は受け取った保険金は必ず被保険者の債務に充当するとしていること、被保険者は保険料を負担せず死亡による保険金を受け取る権利を有していないことなどからすれば、本件団信保険契約はG銀行の確実な債権回収を目的とした保険であると認めるのが相当である。

したがって、被保険者の死亡時点における本件ローン契約の残債務全額に相当する経済的利益は、連帯債務であるという当該債務の性質により、各連帯債務者間における負担割合に応じて生じるものであって、債務免除によるものではなく、また、請求人は父の死亡時点において10割の負担割合を有する連帯債務者であると認められるから、請求人は本件ローン契約の残債務の全額に相当する経済的利益を享受したといえ、当該経済的利益は、営利を目的とする継続的行為から生じたものではなく、役務等の対価性もないから、一時所得に該当する。

 

債務免除益となる場合

債務者が個人の場合には、債務免除益は発生しないです。

しかし、債務者が法人で、その法人の経営者に団体信用生命保険がかけられていた場合で、その被保険者である経営者が死亡し、その法人が借入金を返済しなくてもよいことになったようなケースのときには、その法人は、債務免除益を計上する必要があります。

例えば、投資用物件を不動産管理法人名義で購入するために、その不動産管理法人がアパートローンの債務者となり、その法人の代表者が団信の被保険者となるようなケースです。

この場合、団信の被保険者であるその不動産管理法人の代表者が亡くなった場合には、その法人はアパートローンの残債務を返済しなくて良いことになりますので、その不動産管理法人に対し、債務免除益がかかります。

尚、住宅ローンの場合には基本的に団信の保険料負担はないことはお話しましたが、アパートローンの場合には、借入金利に0.3%上乗せする金融機関が多いので覚えておきましょう。

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